核心区、緩衝区:高美野生動物保護区において、重要な動植物の生息地であるため、立ち入りを禁止とする。
永続利用区:観光客に体験してもらうために開放しているが、野生動植物の生息を妨害してはならない。また、水泳、シュノーケリング、または道具等を使用したウォーターレジャーも禁止とする。
リンク:分区規制事項
過去に行った調査では、高美湿地の周辺および堤防外の湿地内に合計で27科105種類の植物が生息している。その中でも、高美湿地において最も特徴的で代表的ともいえる植物が、イセウキヤガラと、台湾固有種のハイグロフィラ・ポゴノカリックスである。イセウキヤガラはもともと彰化県の海岸沿いに原生していた植物で、以前は、大肚渓の河口は台湾一の面積を誇る広大なイセウキヤガラの群生地であった。しかし、人の手による開発と政府の配慮に欠ける政策の結果、イセウキヤガラは彰化県の海岸から姿を消してしまった。今では、イセウキヤガラの最大の群生地は、台中市にある高美湿地となっている。海岸の植物の繁殖あるいは湿地の保護を進めるにあたり、最も人々の関心を引くのが、マングローブの繁殖と保護である。多くの民間団体または政府組織が、以前から、メヒルギやヒルギダマシ、ヒルギモドキなどのマングローブ植物を植え、湿地保護をしようとしてきた。しかし、台湾中部の海岸は台湾のほかの地区の海岸とは異なり、広大な泥質の干潟である。このような地質に適している塩生植物は、イセウキヤガラであり、マングローブではない。イセウキヤガラはマングローブと同様の働きを持っており、彰化海岸においては、その重要性はマングローブよりも高い。しかし、イセウキヤガラはマングローブほどの知名度がない。イセウキヤガラはマングローブと同様、底生生物及び魚介類をはぐくむことができるし、カニが身を隠す場所としても最適である。秋冬になったら、夏には緑が生い茂って風になびいていたイセウキヤガラは枯れ、干潟全体が緑の絨毯の庇護を失ってしまう。それで夏にイセウキヤガラの中で育まれた底生生物は、冬になると渡り鳥の食糧となり、栄養源となる。それに対してマングローブは、生長し密林を築いてしまえば、密接に生えた枝が水鳥の餌探しを妨げる。非原生地でマングローブが成長し面積を増やせば、結果として水鳥の住処が減少してしまう。これがマングローブとイセウキヤガラの最も大きな違いである。水鳥とイセウキヤガラ間の相互関係こそが、現在の高美湿地の生態系の最も大きな特色の一つである。高美湿地における、もう一つの代表的な植物ハイグロフィラ・ポゴノカリックス。ハイグロフィラ・ポゴノカリックスは台湾固有の水生植物で、湿地を緑で覆いつくし、小さな紫色の花が風に吹かれてなびく様子は、とても可愛い印象を与える。しかし、主な生息地が田んぼの間の用水路や、川辺及びため池などの沼地であるため、農地の開発や拡張に伴い、生息地が年々減少している。そして今や、絶滅の危機に瀕する国宝植物となっている。